電話綺譚
2006年 09月 13日数年前にボコーダのマイクの筐体として使用しようとキープしてた黒電話は、
ひょんな事から不動のソニーのプッシュ電話を蹴落とし、
今、我が家のメイン電話機に。
携帯から1コール試験すると、着信前(呼び出し音の数秒前)に不規則に鳴動。
気持ち悪いのでEI子に試験を頼む。
着信、モシモシ、不通
着信、モシモシ、不通
BフレマンションタイプのVDSL信号が載った弱電なんぞ、黒電話様は口にもせぬのか!?
その刹那、脳裏に激光閃き轟音として千里を貫く!
…誇張を外すと、頭の上に電球がピカ。
「鳴くまで待とうホトトギス」
家康の生まれ変わりとしか思えないヒラメキ。前世が太平の世を平定した御殿様だった驚きは禁じえないが、今は実証が先立つ。
あぁ、携帯携帯… と、前世武将は総大将にあるまじきオロオロの最中、EI子より3度目の着信を受ける。
不規則「ディ」
不規則「ディ」
不規則「ディディ」
不規則「ディ…」
沈黙
規則的「ヂィリリリ…」
規則的「ヂィリリリ…」
応『申し申し』
答『申し申し』
悦びは百万弗の笑顔、もとい、百万両の笑顔。狸は満悦で黒電話を磨きにけり。
具体的には研磨剤、商品名「ピカール」で。
記憶は匂いと音。
失ったはずの声すら。
失ったはずの思い出すら。
この先に無いのは承知では在るが、ただただ視覚聴覚の2個のファクターは、
フィルター越しの想い出を、開いた目蓋にすら朧に朧に映すのです。
幼少のみぎりに感じた事よ。はじめまして、おかえりなさい。
…ただよう、この電話、発信できねぇんだよう…
by lender
| 2006-09-13 22:09